第13章・猫目雅子、白
「黒猫のヤマトとタンゴ」親子の話を聞いた翌日。
空は青く、どっけんとナイスガイ権兵衛は、
冬だと言うのに春が来たようなその陽気を満喫していた。
白い蝶が舞う。

やはり春が間違えてやって来たようだ。
二人はそんな話をしながら、その白い蝶を何気なく目で追った。
暖かい陽射しの中に、彼女はその白い蝶を微笑みながら眺めていた。
もっと白く美しい姿で…。

あまりの美しさに息を呑む。
そこに居たのは猫目雅子。
野良猫一座の看板女優猫、そして猫や犬の間で知らぬ者など誰もいない、大スター。
どっけんは勇気を出して、声をかけてみた。
「猫目雅子さん、だよね?」

「どっけんさんとナイスガイ権兵衛さんですよね?黒猫のヤマトからお話は聞いています。」
黒猫のヤマトも、今の状況をなんとかしたかったのだろう。
彼も何かが狂っているように感じているのだ。
それなら話は早い。
「独眼猫政宗、そして座長「鬼猫院」、そして…、
野良猫一座とボス犬軍団とヤジキタコンビとの三つ巴の抗争…。
どうなってるのかを聞きたいんだ。」
どっけんの質問に丁寧に答える猫目雅子。
「座長の鬼猫院は、とてもいい人。奥様の勘違いから起きた騒動だと思います。」
猫目雅子はゆっくりと続ける。
「私は孤児でした。両親とはぐれ、道端で倒れていた私を拾い上げてくれたのが、鬼猫院です。
彼は義理の父となり、私を本当の娘のように可愛がってくださいました。」
それが仇となってしまったのだと彼女は続けた。
「鬼猫院の奥様が、私達の関係を男女の愛と勘違いされてしまいました。
すべて私の責任なのかもしれません…。」
一座の男の「子供」を産んだ女猫たちは、遠方島流しとなり奴隷になるという掟。
それは嫉妬に狂った鬼猫院の女房の、二人に対する見せしめだったのか。
抑えきれぬ激情、それはやり場のない恨みと怒り。
看板女優猫になった猫目雅子には傷はつけられぬ。

だから…、一座の男の女房たちへとその矛先は向かったのだ。
猫、犬、人間…誰もが持つ哀しみや憎しみ…何故そんな感情があるのだろう?
猫目雅子が、悲しそうに聞いた。
「政宗様はお元気でしたか?」

青かった空に少しだけ、灰色の雲が広がり始めた午後に。
第14章・猫目雅子、決意
やや雲が広がり、猫目雅子の美しい白が影になり灰色に見える。
独眼猫政宗の事を思い出したか、表情まで翳りはじめる。

美しい猫は、哀しみの表情が何故か良く似合う。
そんな事をどっけんは思った。
白い蝶はいつの間にか消えていた。
「この醜い争いの原因は猫目雅子さん、貴女だけのせいじゃないです。
独眼猫政宗さん、座長の鬼猫院さんと奥さんが、
きちんと話し合う事が大切じゃあないでしょうか?」
いつになくナイスガイ権兵衛が燃えているようだ。
まさか猫には惚れまいが…。
「私は少し疲れました…。
いっその事、一座を辞めて何処か他の場所へ行きたい。
政宗様や、義理の父の事を忘れて…。
遠くで、一生平凡に暮らしたくなりました。」

「何を言ってるんですか!」
権兵衛の聞いたことも無いような厳しい口調。
「貴女は、それでいいかもしれません。
しかし、貴女を必要としている生き物達がいる!
貴女は野良猫だけじゃなく堅気の猫や犬、全世界の生き物達に、
希望を与えているんです!
猫目雅子という女優猫が居なくなったら、野良猫一座は崩れ去るでしょう
座長の鬼猫院さんや独眼猫政宗さんだって、悲しむだけだ!!」
権兵衛の熱い想いに一瞬動きが止まる猫目雅子。

どっけんが静かに語りかける。
「政宗さんは南にいる。
貴女はやっぱり彼に会うべきだよ。
ただ、南にはヤジキタコンビが居る。
野良猫一座に宣戦布告してるよ。
だから探す時は気をつけて。」
「ありがとうございます。目が覚めました。
やはり、一度政宗様を探します。」
はっきりとした口調だった。
「あとは座長の鬼猫院さんと奥さんと話し合えば…」
権兵衛がそう言いかけた瞬間。
「問題はまだあるのです」
猫目雅子が遮る。
「今ここでは言えません…しかし、警戒してほしい猫がいるのです。」
警戒してほしい猫?
猫目雅子が口を開く…「その名は…」
「その名は…すてぃんぐ…忘れないでください。」
すてぃんぐ?
そう言い残して、白く美しい美猫はゆっくりと静かに背を向けた。
猫目雅子・ザ・ムービー
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この物語はMr大蛇山が創作したオリジナルの物語であり、
野良猫や飼い猫や飼い犬達のネーミングも、
大蛇山のオリジナルです(^▽^*)
この野良猫一座の物語は、少しでも猫や犬嫌いの人に読んで頂き、
ニックネームをつけると愛着が沸くという事に気付いて貰いたいなぁ
との思いから作られました
是非「愛と感動の物語」を演じる、
猫や犬達を楽しんで見てくださぃ(´▽`*)
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